愛犬や愛猫の顔をふと見たとき「いつもより目が飛び出しているように見える」「まぶたがうまく閉じられなくなっている」と感じて驚いたことはありませんか。
目のトラブルは、突然見た目に表れる場合も多く、特に「眼球突出」はインパクトの大きい症状のため、強い不安を感じる飼い主様もいらっしゃるかと思います。いつもと違う様子に気づきながらも「自然に戻るのだろうか」「自宅で何かできる対応はあるのだろうか」と戸惑う方も多いでしょう。
しかし、眼球突出は目の状態に大きく関わる症状であり、早めの対応が重要になるケースもあります。そのため、適切な知識を知っておくと、いざというとき落ち着いて行動しやすくなり、結果として、愛犬や愛猫の視力や生活の質を守れる可能性も高まります。
そこで今回は、犬や猫に見られる眼球突出とはどのような状態なのか、原因、注意したい症状、受診の目安や治療方法などについて解説します。
■目次
1.犬や猫の眼球突出とは?
2.眼球突出の原因
3.犬種や骨格の影響
4.こんな症状が見られたら要注意
5.眼球突出は応急処置より早期受診が重要
6.検査と治療方法
7.まとめ
犬や猫の眼球突出とは?
眼球突出とは、目の位置が本来よりも前に押し出された状態を指します。通常、目はまぶた、周囲の骨や複数の筋肉などによって適切な位置に保たれています。しかし何らかの原因によって目の奥から圧力がかかったり、周囲の組織に変化が起きたりすると、眼球が前方へ移動してしまう場合があります。
眼球突出が起こると、以下のような変化が見られる場合があります。
・目が大きく見える
・左右の目の位置に差がある
・まぶたが閉じにくい
・目の表面が乾いているように見える
このような状態では、目の表面が空気に触れる時間が長くなります。その結果、角膜が乾燥したり傷ついたりする可能性があります。
なお、眼球突出は犬と猫のどちらにも起こり得る症状ですが、臨床の現場では犬で見られるケースが比較的多い傾向があります。特に目が大きく顔の骨格が浅い犬種では、構造的な影響を受けやすい場合があります。
眼球突出の原因
眼球突出が起こる背景には、さまざまな原因があります。大きく分けると、外部からの衝撃によるものと、目の奥の異常によるものがあります。
<外傷による場合>
まず多い原因のひとつが外傷です。例えば、以下のような出来事がきっかけになる場合があります。
・交通事故
・高い場所からの転落
・他の犬との衝突や接触
このような外力が加わると、目の周囲の組織が損傷したり、眼球の位置を支える構造に影響が及んだりする場合があります。
<目の奥の病気の場合>
一方で、外傷がなくても眼球突出が表れるケースもあります。例えば、以下のような変化が目の奥で起こると、内側から眼球が押し出される場合があります。
・炎症
・出血
・膿瘍
・腫瘍
これらは眼窩と呼ばれる目の奥の空間で起こる変化です。内部で体積が増えると、眼球が前方へ移動する場合があります。
犬種や骨格の影響
また、犬種による体の構造も影響する場合があります。
例えば以下のような犬種では、目が前方に位置しているため注意が必要な場合があります。
・トイプードル
・シーズー
・パグ
・チワワ
・ペキニーズ
ただし、犬種だけで発生が決まるわけではありません。生活環境や事故など、複数の要因が関係する場合もあります。
こんな症状が見られたら要注意
眼球突出は見た目に変化が表れやすい症状ですが、初期の段階では気づきにくいケースもあります。
飼い主様が異変に気づくきっかけとなる症状には、以下のようなものがあります。
・明らかに目が前に出ている
・左右の目の大きさや位置に差がある
・充血や出血が見られる
・目が白く濁って見える
・目を細める様子がある
・前足で目をこする仕草が増える
犬や猫は痛みや不調を隠す傾向があります。そのため、元気そうに見えていても、目の内部で炎症や障害が進んでいる可能性もあります。
また、眼球突出が起こると、まぶたが完全に閉じにくくなる場合があります。すると前述したように、目の表面が乾燥したり、角膜に傷ができたりするリスクが高まります。
このような状態が続くと、視力の低下や失明につながる場合もあるため、早めに動物病院を受診することが大切です。
眼球突出は応急処置より早期受診が重要
目の異変に気づいたとき「自宅で応急処置をした方がよいのでは」と考える飼い主様もいらっしゃいます。しかし、眼球突出は自宅での対応が難しい症状のひとつです。
例えば、無理に触れたり押したりすると、目の組織にさらにダメージを与える可能性があります。また、目の表面は非常にデリケートなため、乾燥や角膜の傷が短時間で進行する場合もあります。
そのため、眼球突出が疑われる場合には、できるだけ早く動物病院で診察を受けることが重要です。
早期に適切な処置を行うと、目の状態を保てる可能性が高まります。反対に、様子を見る時間が長くなるほど、視力への影響が大きくなる可能性があります。
目の異変に気づいたときは、「少し様子を見る」よりも「早めに相談する」という行動が大切です。
検査と治療方法
動物病院では、まず飼い主様から詳しい状況をお聞きします。
例えば、以下のような情報は原因を考えるうえで重要な手がかりになります。
・いつ頃から症状が見られるようになったか
・事故や転倒がなかったか
・元気や食欲の変化はあるか
・生活環境に変化はあるか
その後、目の状態を詳しく調べるための検査を行います。
当院では眼科検査に加えて問診や身体検査も取り入れ、より正確な診断を目指しています。眼科では、角膜、結膜、ぶどう膜、網膜などさまざまな部位で異なる病気が起こるため、病変の場所を特定する検査が重要になります。
具体的には、可能であれば以下のような検査を行いますが、重症の場合は緊急疾患のため検査するよりも先に手術を選択することがほとんどです。
・スリットランプ検査
・フルオレセイン染色検査
・眼圧検査
・眼底検査
これらの検査により、目の表面や内部の状態を確認したり、病変の場所を推測したりすることが可能になります。
なお、必要に応じて画像検査などを行い、目の奥の状態や全身との関連を評価する場合もあります。
治療方法は原因や症状の程度によって異なります。炎症や感染が関係している場合には内科的な治療を行ったり、眼球の位置を整える処置を行ったりする場合があります。また、状況によっては外科的な治療が必要になる場合もあります。
目の病気は局所の問題だけでなく、全身状態と関係するケースもあります。そのため、目だけでなく体全体を確認しながら治療方針を検討していきます。
まとめ
犬や猫の眼球突出は、見た目の変化が大きく、飼い主様が強い不安を感じやすい目のトラブルです。しかし、早い段階で異変に気づき、適切な診察や治療につながると、視力や生活の質を守れる可能性があります。
また、犬や猫は痛みや不調を隠す傾向があるため、目を細めたりこすったりする様子が見られたり、左右の目の大きさに違いを感じたりした場合には特に注意が必要です。些細な変化でも早めに相談すると、状態の把握につながります。
なお、当院では眼科検査だけでなく問診や身体検査も取り入れながら、目と全身の状態を総合的に確認しています。飼い主様のお話を丁寧に伺いながら、犬や猫にとって適した診療を心がけています。目の異変に気づいた際には、どうぞお気軽にご相談ください。
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