犬や猫のまぶたにできるしこりとは?|眼瞼腫瘍について獣医師が解説

愛犬や愛猫の顔を見ているときに「まぶたのふちに小さなできものがある」「目を気にしているように見える」と感じたことはありませんか。

 

目の周囲は被毛やまつ毛に隠れているため、日常的に注意して見ていないと異変に気づきにくい場所です。また、小さなしこりを見つけても「少し様子を見ても大丈夫だろう」と考える飼い主様もいらっしゃいます。

 

しかし、まぶたにできるしこりの中には「眼瞼腫瘍(がんけんしゅよう)」と呼ばれる病気が含まれている場合があります。多くは良性ですが、目の表面に傷を作ったり、まれに悪性腫瘍であったりする場合もあるため注意が必要です。

 

なお、犬や猫にとって視覚は、周囲の環境を把握し安全に生活するために欠かせない大切な感覚です。そのため、目の周囲に表れる小さな変化にも早めに気づくことが重要になります。

 

今回は、犬や猫のまぶたにできる腫瘍である「眼瞼腫瘍」について、原因や種類、検査方法、治療の流れなどを解説します。

 

■目次
1.犬や猫の眼瞼腫瘍とは?
2.眼瞼腫瘍の主な種類と注意点
3.こんな症状が見られたら受診を
4.検査と診断の流れ
5.治療方法
6.まとめ

 

犬や猫の眼瞼腫瘍とは?

眼瞼腫瘍とは、まぶたにできる腫瘍やしこりの総称です。まぶたの皮膚や皮脂腺、結合組織などさまざまな部位から発生するため、見た目、大きさや性質もそれぞれ異なります。

 

腫瘍と聞くと「がん」を想像して不安になる飼い主様もいらっしゃるかと思います。しかし、実際には良性腫瘍と悪性腫瘍の両方が存在しており、見た目だけで性質を判断することは難しい場合が多いです。

 

また、しこりが小さくても安心とは限りません。腫瘍の位置によっては角膜に触れたりこすれたりすることで、目の表面に傷ができたり慢性的な炎症が起こったりする可能性があります。

 

そのため「小さいから大丈夫」と自己判断するのではなく、まずは動物病院で目の状態を確認することが大切です。

 

眼瞼腫瘍の主な種類と注意点

犬の眼瞼腫瘍で特によく見られるものに「マイボーム腺腫」があります。

 

マイボーム腺とは、まぶたのふちにある皮脂腺の一種で、涙の蒸発を防ぐ油分を分泌しています。この腺が増殖してできる腫瘍がマイボーム腺腫です。

 

マイボーム腺腫は多くの場合良性ですが、以下のような問題が起こることもあります。

 

・腫瘍が角膜に触れて目の表面に傷を作る
・慢性的な違和感や痛みが生じる
・涙や目やにが増える

 

また、頻度は高くありませんが、まれに悪性腫瘍が見つかる場合もあります。特に猫では、扁平上皮癌など注意が必要な腫瘍が発生することもあります。

 

このほかにも、眼瞼にはいくつかの腫瘍が発生する可能性があります。代表的なものとして、以下のような種類が挙げられます。

 

・マイボーム腺癌
・乳頭腫(パピローマ)
・メラノーマ(黒色腫)
・肥満細胞腫

 

このように、まぶたにできる腫瘍にはさまざまな種類があり、外見だけで性質を判断することは簡単ではありません。そのため、気になるできものを見つけた場合は、早めに動物病院で状態を確認することが大切です。

 

こんな症状が見られたら受診を

眼瞼腫瘍は小さなしこりとして見つかる場合が多く、初期には目立った症状が表れないこともあります。しかし、以下のような変化が見られる場合には注意が必要です。

 

・まぶたのふちにしこりやできものがある
・目を細める様子が見られる
・前足で目をこする仕草が増える
・涙や目やにが多くなる

 

犬や猫は痛みや不調を表に出さないことが多く、体調の変化が外見から分かりにくい場合があります。そのため、日頃から愛犬や愛猫の様子をよく見守っている飼い主様の気づきが、大切になります。

 

検査と診断の流れ

眼瞼腫瘍が疑われる場合、まず問診を行い、症状が表れた時期や変化の様子、生活環境などを詳しく伺います。飼い主様からの情報は診断の大切な手がかりになります。

 

そのうえで視診や触診を行い、腫瘍の大きさや位置を確認します。また、目の状態を詳しく評価するために眼科検査を実施します。

 

当院では、主に以下のような検査を組み合わせながら診断を進めます。

 

・スリットランプ検査
・フルオレセイン染色検査
・涙液量検査
・眼圧検査
・眼底検査
・眼内超音波検査

 

これらの検査によって、病変の位置を特定したり原因を推測したりすることが可能になります。また、必要に応じて、細胞診検査を実施することもあります。

 

なお、目の病気は全身の状態と関連している場合もあります。そのため、身体検査を含めて総合的に評価しながら診断を行うことが重要です。

 

治療方法

眼瞼腫瘍の治療では、主に外科的に腫瘍を切除する方法が選択される場合が多いです。

 

まぶたは目を保護する役割を担っているため、手術では単に腫瘍を取り除くだけではなく、まぶたの形や瞬きの機能を保つよう配慮する必要があります。また、角膜に影響が出ないよう慎重に処置を進めることも大切です。

 

そのため、目の周囲の手術では繊細な操作と正確な判断が求められます。

 

当院では外科診療に力を入れており、目の周囲の腫瘍に対する外科処置にも対応しています。また、丁寧な診察を心がけ、飼い主様のお話を詳しく伺いながら診断を進めています。そのため、他院からの紹介やセカンドオピニオンとして来院されるケースもあります

 

なお、すべての眼瞼腫瘍がすぐに手術になるわけではありません。腫瘍の種類や大きさ、犬や猫の年齢や健康状態を踏まえながら、負担の少ない治療方法を検討していきます。

 

まとめ

犬や猫のまぶたにできる眼瞼腫瘍は、日常診療の中でも比較的よく見られる病気です。多くの場合は良性ですが、悪性腫瘍が含まれる可能性もあり、見た目だけで判断することは難しい場合があります。

 

また、良性腫瘍であっても角膜に触れる位置にあると、目の痛みや傷の原因になることがあります。そのため、早期に状態を確認し適切に対応することが、犬や猫の目の健康を守るうえで大切になります。

 

愛犬や愛猫のまぶたに小さなしこりを見つけたときには「もう少し様子を見よう」と悩む飼い主様も多いと思います。しかし「少し気になる」という直感が早期発見につながる場合もあります。

 

なお、当院では問診や身体検査、眼科検査を組み合わせながら、犬や猫の目の状態を丁寧に確認しています。些細な変化でも安心して相談できる環境を大切にしておりますので、気になる症状が見られた際にはどうぞお気軽にご相談ください。

 

 

当院の眼科の詳細はこちらのページをご覧ください

 

 

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