愛犬の皮膚に突然しこりを見つけたら、飼い主様としては「これって腫瘍?」「悪性だったらどうしよう」と不安になりますよね。犬の皮膚のできものには良性と悪性があり、その特徴を知っておくことで早期対応につなげることができます。また、早期発見と適切な治療が愛犬の健康を守るためにとても重要です。
今回は犬の皮膚にできるしこりについて、種類や見分け方、しこりを見つけた際の対処法などを詳しく解説します。
■目次
1.犬の皮膚にできるしこりの種類
2.要注意!危険なサインとは?
3.しこり発見時の正しい対処法
4.治療法と予後について
5.予防と日常のケア
6.まとめ
犬の皮膚にできるしこりの種類
犬の皮膚にできるしこりは、主に良性腫瘍と悪性腫瘍に分類されます。それぞれの特徴を知ることで、危険性を判断するヒントになります。
【良性腫瘍の種類と特徴】
良性腫瘍は基本的に命に関わるものではありませんが、大きくなったり炎症を起こしたりすることがあります。
<脂肪腫>
皮膚の下に柔らかい塊として感じられ、痛みがないことがほとんどです。主に中齢から高齢の犬に多く見られます。
<乳頭腫>
小さなイボ状のしこりで、ウイルス性のものが多いです。若い犬に発生しやすく、自然に消えることもあります。
【悪性腫瘍の種類と特徴】
悪性腫瘍は早期発見・早期治療が重要です。放置すると転移や進行が早く、命に関わる可能性があります。
<肥満細胞腫>
皮膚や皮下に比較的柔らかい滑らかなもりあがりが発生し、短期間で急激に大きくなることがあります。「ダリエ徴候」と呼ばれる腫瘍を押すと赤くなる症状が特徴的です。
<悪性黒色腫(メラノーマ)>
黒い色素を持つ腫瘍で、皮膚や口腔内に発生することがあります。非常に悪性度が高く、転移しやすいため注意が必要です。また、黒くてボコボコとしていることが多いですが、黒い色素がないものもあります。
要注意!危険なサインとは?
しこりに以下のような変化が見られた場合は、悪性腫瘍の可能性があるため早急な対応が必要です。
<急激な大きさの変化>
短期間でしこりが急激に大きくなる場合は、悪性の可能性が高いです。
<出血>
しこりから出血が見られる場合は、悪性の可能性が高く、すぐに受診が必要です。
<かゆみや痛み>
しこりにかゆみや痛みを伴う場合は、悪性腫瘍の可能性があります。かき壊してしまう可能性もあるため、早期に対応しましょう。
また、年齢や犬種によっても発症リスクが異なります。例えば、高齢の犬や特定の犬種(ボクサー、ゴールデンレトリバーなど)は、腫瘍のリスクが高いとされています。要注意犬種でこのようなサインが見られた場合は、早急に獣医師に相談することが重要です。
しこり発見時の正しい対処法
愛犬にしこりを見つけた際は自己判断で放置せず、以下のステップを踏んで対応しましょう。
①しこりの観察と記録
しこりの大きさ、形状、硬さ、色などを観察し、写真を撮って記録しておきましょう。経時的な変化を確認するための重要な手がかりとなります。
②かかりつけ医への相談
しこりを見つけたら、自己判断で放置せず、まずはかかりつけの獣医師に相談しましょう。しこりの性質を詳しく調べる必要があります。
治療法と予後について
治療はしこりの大きさ、種類、あるいは進行度に応じて異なります。
<良性腫瘍の場合>
基本的に治療の必要はありませんが、大きくなる場合や炎症を伴う場合には手術で摘出することがあります。
<悪性腫瘍の場合>
早期に手術を行うことが推奨されます。針生検で悪性所見が見られる場合や、急激に大きくなる場合は手術を検討します。また、視診と触診で明らかに手術が必要と判断される場合もあります。
犬のしこりは早期発見と早期治療によって、予後は大きく変わります。例えば、肥満細胞腫は早期に摘出すれば再発のリスクが低くなりますが、放置すると転移のリスクが高まります。
予防と日常のケア
しこりそのものを予防する方法はありませんが、以下のポイントで早期発見の可能性を高めましょう。
<定期的なグルーミング>
日頃から愛犬の体を触ってしこりや腫れがないか確認します。特に体表のリンパ節がある部分(耳の下、首のあたり、わきの下、後ろ足の付け根、膝の裏など)を重点的にチェックしてみましょう。腫れがある場合は、腫瘍の有無にかかわらず健康上の問題がある可能性があります。
<定期検診の実施>
定期的な検診により、早期に異常を発見し、適切な対応が可能となります。
まとめ
愛犬の皮膚にしこりを見つけた際は自己判断で放置せず、早めに動物病院を受診することが重要です。良性腫瘍と悪性腫瘍の特徴や危険なサインを知ることで、適切な対処が可能になります。
愛犬の健康を守るためには、日々のケアや定期検診を怠らず、少しでも異変を感じたら獣医師に相談しましょう。早期発見・早期治療が愛犬の命を守る鍵となります。
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